会報 第2534回例会 2023年 3月22日

被害者支援については、途切れのない支援に加え、漏れのない支援が求められております。現在、県、県警察、民間被害者支援団体である当センターが三位一体で、サポステにおいて幅広く被害者支援を行っているが、すべての罪種の被害者に対して支援を行っているわけではありません。

例えば、娘が痴漢・盗撮の被害にあったが、法律相談を受けたいが、どうしたらよいか。カウンセリングを希望したいがどうしたらよいか等いろいろな相談が寄せられます。「サポステ」で対応できる相談と対応できない相談があります。「サポステ」で対応できる相談の犯罪は、主に刑法犯であり、罪種が身体犯に限られていることから、先ほど述べました痴漢・盗撮の被害については、神奈川県迷惑行為防止条例違反となり、サポステの案件ではありませんので、支援の対象外となります。

しかし、被害者にとっては、痴漢・盗撮についても身体的、精神的に受ける苦痛、ダメージは、強制わいせつの被害と何ら変わりません。それでは、痴漢・盗撮の被害者に対する支援をどうするのか、このまま、他機関を紹介して相談案件終了とするのか、当然、そのよう なことはできません。どうするのか、サポステで支援ができないとなれば、民間の被害者支援団体である神奈川被害者支援センターが独自に、被害者が希望する支援を行わなければなりません。この支援の形態が当センターが申し上げている「漏れの無い支援」であります。また、「潜在被害」とならないよう被害者の声なき声を聴き、声を挙げることのできない被害者の無念に寄り添うことが使命である思っております。

また、民間の被害者支援団体である神奈川被害者支援センターの役割として、被害者にとって個々の事情に応じて途切れのない支援を受けられるようにすることが求められており、犯罪被害者等や地域の実情に応じて柔軟性に富んだきめ細やかな支援を提供することが出来る民間の被害者支援団体の役割は重要となっております。

そのような重要な役割を担っている神奈川被害者支援センターの活動を充実させるためには、被害者支援の必要性、重要性について理解を頂き、犯罪被害者等に対する県民の理解・関心が深まり、社会全体で支えていく気運が一層醸成されるとともに、民間の被害者支援団体の財政的基盤の安定が求められております。
県民の皆様のご支援、ご協力に支えられて、民間の被害者支援団体は活動を継続させていただいております。