会報 第2635回例会 2025年 5月14日

３．遺言書はいつ作るべきか？

１５歳以上で、物事の判断能力が失われていない人ならば、誰でも作ることができる。

死期が迫ってから作ろうとすると、方式が限定されてしまうこともある。

４．遺言の種類

1. 自筆証書遺言
   遺言の作成者が、全文を自筆で作成する（財産目録のみPC作成可）。
   費用がかからない、いつでも作ることができるのがメリット。
2. 公正証書遺言
   公証人に、証人２名の立ち合いの下で、作ってもらう。内容・方式についての信頼度が高く、遺言書の真正について争いになりにくい。

５．自筆証書保管制度

住所地・本籍地の法務局が遺言書を預かって保管してくれる制度。
偽造や書き換えの心配がなくなり、家庭裁判所の検認も不要になる。

ただし、相続発生後の手続き（遺言証明情報の発行など）は、相続人本人が申請する必要あり。

６．遺言を作るときに気を付けるべきこと

• 用語の使い方
  「相続させる」「遺贈する」「譲り渡す」など、使う言葉によって法的効果が異なることがある。
• 遺留分
  遺言に左右されることなく、相続人が受けとれる相続財産を一定限度で保障する制度。
  兄弟姉妹以外の法定相続人に認められている。
  本来の法定相続分の２分の１。
• 税務上のリスク

７．遺言書作成のステップ

1. 自分の持っている財産を、書き出してみる
2. どんな心配事、将来の懸念があるか、書き出してみる
3. 自分の財産を、誰にどのように渡したいか、思いのままに検討してみる
4. ③の内容を調整した方がよいかを検討する Cf. 遺留分の侵害、税務上のリスク、残された家族がどう思うか、など
5. （自筆証書遺言の場合）頑張って自筆で書いて（日付と捺印も忘れずに！）住所地または本籍地の法務局に預ける（予約制）。
6. （公正証書遺言の場合）公証役場で案文を作ってもらい、立会証人とともに公証役場に行く。

８．遺言書の保管

1. 自筆証書遺言保管制度を利用する場合
   遺言書の原本は、法務局で保管。
   遺言者は、法務局が発行する「保管証」を保管する（ご家族等に保管証の写しを渡しておくのもよい）。
   遺言者に氏名・住所・本籍の変更があったときには、法務局への届出を要する。
2. 公正証書遺言の場合
   公証役場から、作成後に発行される遺言公正証書の正本と謄本を保管する。
   「正本」は遺言執行者に預け、「謄本」は遺言者本人が保管するのがよい。
   遺言者に住所・氏名・本籍の変更があったときでも、公証役場で手続きを取る必要はない。